表面利回り12.21%でも手残りは月6万円|不動産投資CF計算の7ステップ
表面利回り12%の物件でも、毎月の手残りがほとんどないことがあります。 理由は、表面利回りに空室、管理費、固定資産税、修繕費、ローン返済などが反映されていないからです。帳簿上は黒字でも、元金返済や大規模修繕によって銀行口座の残高が減るケースもあります。 不動産投資で購入前に確認すべき数字は、家賃収入の大きさだけではありません。重要なのは、すべての支出と返済を反映した後に残る**キャッシュフロー(CF)**です。 さらに、時間に追われない運用を目指すなら、次の2点を同時に測る必要があります。 毎月いくら現金が残るか オーナーが管理に何時間使っているか この記事では、初心者でも同じ基準で物件を比較できるように、キャッシュフローの計算方法、融資のストレステスト、修繕対策、購入後の自動監視までを7ステップで解説します。 免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としています。特定物件の購入、融資、税務処理を推奨するものではありません。実際の判断は、不動産会社、金融機関、税理士、司法書士、建築士などの専門家へ確認してください。 不動産投資のキャッシュフローとは キャッシュフローとは、一定期間に入った現金と、出ていった現金の差額です。 ただし、実務では「どこまで差し引いた数字か」を明記しなければ比較できません。本記事では、次の3段階に分けます。 NOI = 実効総収入 - 物件運営費 返済後CF = NOI - 年間ローン返済額 積立後CF = 返済後CF - 将来修繕の積立額 実効総収入とは、満室想定家賃から空室・滞納損失を差し引き、駐車場などの付帯収入を加えた金額です。 NOIは、物件そのものの運営収益力を見る指標です。通常、ローン返済、所得税、減価償却費、取得時の諸費用、大規模な資本的支出は含めません。 修繕積立は、積み立てた時点で第三者へ支払う費用ではありません。しかし、自由に使える現金から切り離しておく必要があるため、本記事では「積立後CF」を実質的な手残りとして扱います。 キャッシュフローと不動産所得は別の数字 キャッシュフローと税務上の不動産所得は同じではありません。 国税庁は、不動産所得を次の式で計算すると説明しています。 総収入金額-必要経費=不動産所得の金額 固定資産税、損害保険料、修繕費、減価償却費などは、条件に応じて必要経費になり得ます。一方、借入金の元金返済は必要経費になりません。業務のための借入金の利息は、一定の条件のもとで必要経費になります。 減価償却費は現金支出を伴わない経費です。そのため、次のような違いが生じます。 不動産所得は黒字でも、元金返済が重く現金が残らない 減価償却によって不動産所得は赤字でも、口座には現金が残る 通常の修繕は経費でも、工事内容によっては資本的支出として扱われる 修繕積立は、積み立てただけでは原則として必要経費にならない 税務上の扱いは個別事情で変わります。詳細は、国税庁「不動産収入を受け取ったとき」および国税庁「必要経費の知識」を確認し、税理士へ相談してください。 表面利回りだけでは手残りが分からない 表面利回りは、一般に次の式で計算します。 表面利回り = 満室想定年間家賃 ÷ 物件価格 × 100 候補を絞り込む入口としては便利ですが、次の項目は反映されません。 収入を減らす要因 空室 滞納 フリーレント 家賃下落 サブリース賃料の改定 入居募集期間の長期化 支出を増やす要因 管理委託料 共用部の電気・水道・清掃費 固定資産税・都市計画税 火災保険・地震保険 入居募集費用 原状回復費 設備交換費 大規模修繕費 税理士・会計ソフト費用 ローンの元金と利息 表面利回りが高くても、築古で修繕費が多い、融資期間が短い、空室期間が長い物件では、手残りが小さくなる可能性があります。 ...