「想定利回り7%」の新築アパートを見つけたとき、最初に確認すべきなのは「高いか低いか」ではありません。
確認すべきなのは、次の3つです。
- その7%は、総事業費ベースで計算されているか
- 空室・管理費・税金・修繕費を引いたあと、NOIはいくら残るか
- ローン返済後に、金利上昇や家賃下落に耐えられるだけのキャッシュフローが残るか
新築アパート投資では、販売資料の表面利回りだけを見ると判断を誤ります。満室想定家賃は入口として使えますが、実際の手残りは、空室、運営経費、融資条件、建築費の追加、固定資産税、出口価格で大きく変わります。
この記事では、初心者でも買付前に検算できるように、表面利回り → 実質利回り → 返済後キャッシュフロー → DSCR → 感度分析の順番で、新築アパート投資の利回り計算を整理します。
本記事は一般的な情報提供であり、特定物件の購入、融資承認、税務判断を保証するものではありません。実際の判断では、販売資料、見積書、管理会社ヒアリング、金融機関の融資条件、税理士・建築士等の確認を組み合わせてください。
この記事で使う計算例
まず、記事全体で使う前提をそろえます。
| 項目 | 金額・条件 | 備考 |
|---|---|---|
| 土地価格 | 7,000万円 | 売買予定額 |
| 建物価格 | 7,200万円 | 建築見積書ベース |
| 諸費用 | 800万円 | 登記、融資、保険、税金等 |
| 予備費 | 500万円 | 地盤改良、外構、仕様変更等への備え |
| 総事業費 | 1億5,500万円 | 土地・建物・諸費用・予備費の合計 |
| 戸数 | 12戸 | 1K想定 |
| 1戸あたり月額家賃 | 7.5万円 | 満室想定 |
| 月間満室家賃 | 90万円 | 7.5万円 × 12戸 |
| 年間満室家賃 | 1,080万円 | 90万円 × 12か月 |
| 空室損 | 5% | 計算例 |
| 運営経費 | 15% | 管理費、税金、保険、修繕等の概算 |
| 借入額 | 1億3,000万円 | 自己資金2,500万円想定 |
| 金利 | 年2.0% | 元利均等返済の試算 |
| 返済期間 | 30年 | 試算条件 |
| 年間返済額 | 約577万円 | 概算 |
販売資料では「物件価格1億5,000万円、表面利回り7.2%」のように見えても、検算では諸費用や予備費を含めた総事業費1億5,500万円を分母にします。
ここを変えるだけで、利回りは下がります。
新築アパート投資の利回り計算は4段階で見る
新築アパートの利回りは、次の順番で確認します。
| 段階 | 指標 | 何を見るか |
|---|---|---|
| 1 | 表面利回り | 満室想定家賃に対して、価格が高すぎないか |
| 2 | 実質利回り | 空室損・運営経費を引いた収益力 |
| 3 | 返済後キャッシュフロー | ローン返済後に現金が残るか |
| 4 | 感度分析 | 家賃下落、経費増、金利上昇でも耐えられるか |
初心者が特に注意すべきなのは、表面利回りが高くても、返済後キャッシュフローが薄い物件はあるという点です。
Step 1. 総事業費を確定する
最初に確認するのは、物件価格ではなく総事業費です。
新築アパートでは、販売資料に書かれた土地・建物価格だけでなく、次の費用も分母に入れます。
- 土地価格
- 建物価格
- 設計費、建築確認関連費
- 仲介手数料
- 登記費用
- 融資手数料、保証料
- 火災保険料、地震保険料
- 不動産取得税
- 固定資産税・都市計画税の精算金
- 外構工事
- 地盤改良費
- 上下水道引込費
- 造成費、擁壁関連費
- 測量、分筆、近隣対応費
- 予備費
今回の例では、総事業費は次の通りです。
土地 7,000万円
建物 7,200万円
諸費用 800万円
予備費 500万円
----------------
総事業費 1億5,500万円
販売資料の「1億5,000万円」をそのまま使うと、利回りが実態より良く見えます。買付前の計算では、未確定費用を0円にせず、必ず仮置きしてください。
Step 2. 満室想定家賃を部屋ごとに検算する
次に、年間満室家賃を確認します。
今回の例では、1Kが12戸、1戸あたり月7.5万円です。
月間満室家賃 = 7.5万円 × 12戸 = 90万円
年間満室家賃 = 90万円 × 12か月 = 1,080万円
ここで見るべきポイントは、家賃の高さそのものよりも、その家賃で本当に決まる根拠があるかです。
確認方法は次の通りです。
| 確認項目 | 見るもの | 注意点 |
|---|---|---|
| 募集賃料 | ポータル掲載中の競合物件 | 掲載賃料は希望価格であり、成約賃料とは限らない |
| 成約賃料 | 管理会社へのヒアリング | 直近の決定賃料を確認する |
| 築年差 | 築0年、築5年、築10年の近隣物件 | 新築プレミアムを過大評価しない |
| 駅距離・面積 | 同条件の競合 | 面積や設備差を無視して比較しない |
| 広告料 | ADの有無 | 高い家賃でも広告料が重いと実質収益は下がる |
たとえば、周辺の築10年・同面積の1Kが7.0万円で決まっているのに、新築だけ7.8万円で試算している場合は、新築プレミアムに寄りすぎている可能性があります。
Step 3. 表面利回りを計算する
表面利回りは、次の式で計算します。
表面利回り = 年間満室家賃 ÷ 総事業費 × 100
今回の例では、年間満室家賃1,080万円、総事業費1億5,500万円です。
1,080万円 ÷ 1億5,500万円 × 100 = 約6.97%
表面利回りは約7.0%です。
ただし、この数字には次のものが入っていません。
- 空室損
- 管理費
- 固定資産税・都市計画税
- 火災保険料
- 原状回復費
- 修繕費
- 広告料
- ローン返済
- 所得税・法人税等
表面利回りは、物件を横並びで見る入口の数字です。投資判断の結論には使えません。
Step 4. 空室損と運営経費を入れてNOIを出す
次に、NOIを計算します。
NOIは、Net Operating Incomeの略で、ローン返済前の営業純利益です。
NOI = 年間満室家賃 - 空室損 - 運営経費
実質利回り = NOI ÷ 総事業費 × 100
今回の例では、空室損5%、運営経費15%で置きます。
空室損 = 1,080万円 × 5% = 54万円
運営経費 = 1,080万円 × 15% = 162万円
NOI = 1,080万円 - 54万円 - 162万円 = 864万円
実質利回りは次の通りです。
864万円 ÷ 1億5,500万円 × 100 = 約5.57%
表面利回りは約6.97%でしたが、空室損と運営経費を入れると、実質利回りは約5.57%まで下がります。
ここで重要なのは、経費率を一律で決め打ちしないことです。新築時は修繕費が少なく見えますが、入退去時の原状回復、設備交換、共用部修繕、保険料、固定資産税は発生します。
Step 5. ローン返済後キャッシュフローを計算する
不動産投資では、実質利回りが黒字でも、返済後キャッシュフローが薄いことがあります。
返済後キャッシュフローは次の式です。
返済後キャッシュフロー = NOI - 年間ローン返済額
今回の例では、NOI864万円、年間返済額約577万円です。
返済後キャッシュフロー = 864万円 - 577万円 = 287万円
月間手残り = 287万円 ÷ 12か月 = 約23.9万円
月約23.9万円の税引前キャッシュフローです。
この数字だけを見ると悪くなさそうに見えます。ただし、これは税引前であり、かつ大きな修繕や家賃下落をまだ反映していません。
確認すべきなのは、次の問いです。
- 1室空いた状態が数か月続いても耐えられるか
- 家賃を5%下げても返済後CFが残るか
- 金利が上がって年間返済額が増えても赤字にならないか
- 固定資産税や保険料が想定より高くても耐えられるか
- 退去が重なった月に広告料・原状回復費を払えるか
Step 6. DSCRで返済余力を見る
DSCRは、Debt Service Coverage Ratioの略です。返済余力を見る指標です。
DSCR = NOI ÷ 年間返済額
今回の例では、NOI864万円、年間返済額577万円です。
864万円 ÷ 577万円 = 約1.50
DSCRは約1.50です。
DSCRが1.0を下回ると、営業収益だけではローン返済をまかなえない計算です。1.2、1.3、1.5のどこを安全圏と見るかは、金融機関、投資家、物件の立地、築年数、資産背景によって異なります。
買主側の実務では、次のように見ます。
| DSCR | 見方 |
|---|---|
| 1.0未満 | NOIだけでは返済不足 |
| 1.0〜1.2 | 空室や修繕で赤字化しやすい |
| 1.2〜1.5 | 条件次第。感度分析が必須 |
| 1.5以上 | 余力はあるが、家賃下落・金利上昇の確認は必要 |
金融庁の投資用不動産向け融資に関する資料でも、金融機関が融資規模や管理態勢を横断的に確認したうえで、アンケート調査結果を公表しています。買主側も、金融機関任せにせず、自分で返済余力を検算する必要があります。
参考:金融庁「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果について」
Step 7. 損益分岐入居率を出す
初心者におすすめなのが、損益分岐入居率の確認です。
ここでは簡易的に、返済込みで赤字化しないために必要な入居率を見ます。
返済込み損益分岐入居率
=(運営経費 + 年間返済額)÷ 年間満室家賃 × 100
今回の例では、運営経費162万円、年間返済額577万円、年間満室家賃1,080万円です。
(162万円 + 577万円)÷ 1,080万円 × 100 = 約68.4%
概算では、入居率68.4%を下回ると返済込みで赤字化しやすくなります。
ただし、これは簡易計算です。実際には、固定資産税のように空室でも発生する費用と、原状回復・広告料のように入退去で増える費用があります。より正確に見るなら、固定費と変動費を分けて計算してください。
Step 8. 家賃下落・経費増・金利上昇の感度分析をする
買付前には、最低でも次の表を作ります。
| シナリオ | 年間満室家賃 | NOI | 年間返済 | 年間CF | DSCR |
|---|---|---|---|---|---|
| 標準 | 1,080万円 | 864万円 | 577万円 | +287万円 | 1.50 |
| 家賃5%下落 | 1,026万円 | 821万円 | 577万円 | +244万円 | 1.42 |
| 家賃10%下落 | 972万円 | 778万円 | 577万円 | +201万円 | 1.35 |
| 空室・経費率25% | 1,080万円 | 810万円 | 577万円 | +233万円 | 1.40 |
| 空室・経費率30% | 1,080万円 | 756万円 | 577万円 | +179万円 | 1.31 |
| 返済700万円 | 1,080万円 | 864万円 | 700万円 | +164万円 | 1.23 |
| 家賃10%下落+返済700万円 | 972万円 | 778万円 | 700万円 | +78万円 | 1.11 |
この表から分かるのは、単独の悪化では黒字でも、複数の悪化が重なると余裕が急に薄くなることです。
特に新築アパートでは、次の変化を入れてください。
- 築5年後に家賃が下がる
- 築10年後に競合物件が増える
- 設備交換費が発生する
- 金利上昇で返済額が増える
- 売却時に買主がより高い利回りを要求する
新築時の満室だけで判断せず、築年後の収益で再計算することが重要です。
買付前チェックリスト
買付前に、次の表を埋めてください。
| チェック項目 | 確認する内容 | 根拠資料 |
|---|---|---|
| 総事業費 | 土地、建物、諸費用、予備費を含めたか | 売買資料、見積書、金融機関資料 |
| 家賃 | 周辺相場より高すぎないか | 管理会社ヒアリング、ポータル、成約事例 |
| 空室率 | 募集期間と退去頻度を見たか | 管理会社、周辺募集状況 |
| 運営経費 | 管理費、税金、保険、修繕、広告料を入れたか | 見積書、税額試算、保険見積 |
| 融資条件 | 金利、期間、自己資金、手数料を分けたか | 金融機関の条件提示 |
| 返済後CF | 月次で手残りがあるか | 収支表 |
| DSCR | 返済余力があるか | NOI、年間返済額 |
| 損益分岐入居率 | 何戸空くと危険か | 満室家賃、経費、返済額 |
| 土地価格 | 周辺の地価・取引価格とズレていないか | 不動産情報ライブラリ |
| 建物価格 | 見積書の別途工事が残っていないか | 建築見積、仕様書 |
| 出口価格 | 5年後・10年後に売れる価格を見たか | 周辺中古アパート、利回り相場 |
| 法規制 | 道路、用途地域、防火、高度、容積率を確認したか | 役所調査、重要事項説明書 |
地価や取引価格の確認には、国土交通省の不動産情報ライブラリが使えます。同サイトでは、不動産取引価格、地価公示、都道府県地価調査、防災情報、都市計画情報、周辺施設情報などを確認できます。
専門家目線のチェックポイント
1. 「別途」「概算」「未定」を0円にしない
新築アパートでは、見積書に次の言葉があると要注意です。
- 別途
- 概算
- 未定
- 現地確認後
- 必要に応じて
- 施主負担
これらは、あとから総事業費を押し上げる可能性があります。
特に、地盤改良、上下水道引込、外構、造成、擁壁、近隣対応費は、初期資料で軽く扱われがちです。未確定項目は0円ではなく、根拠付きの仮置きにしてください。
2. 新築プレミアムを出口まで引っ張らない
新築時は、設備が新しく、募集上も有利です。そのため、周辺中古より高い家賃で決まることがあります。
ただし、築5年、築10年になると「新築」という強みは消えます。
検算では、少なくとも次の3パターンを作ります。
| 時点 | 家賃設定 | 見る目的 |
|---|---|---|
| 竣工時 | 新築家賃 | 初期募集の成立性 |
| 築5年 | 新築時から5%下落 | 競合増加への耐性 |
| 築10年 | 新築時から10%下落 | 出口価格と長期保有の耐性 |
築10年後の家賃でも返済後CFが残るなら、検討の土台に乗りやすくなります。築10年後に赤字化するなら、価格交渉、自己資金、融資期間、建築費、家賃設定のどこかを見直す必要があります。
3. 法定耐用年数を「建物寿命」と混同しない
減価償却の計算では、国税庁の耐用年数表が参考になります。
国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表」では、建物の構造・用途ごとの耐用年数が示されています。たとえば、木造・合成樹脂造の店舗用・住宅用は22年、鉄筋コンクリート造・住宅用は47年です。
ただし、これは税務上の減価償却に使う年数であり、建物がその年数で使えなくなるという意味ではありません。また、融資期間の判断も金融機関ごとに異なります。
税務、融資、建物の物理的寿命は分けて考えてください。
4. 出口利回りを甘く見ない
新築アパート投資では、入口の利回りだけでなく、売却時の利回りも見ます。
たとえば、築10年後のNOIを780万円、売却時に買主が実質利回り6.0%を求めるとします。
売却価格 = NOI ÷ 出口利回り
780万円 ÷ 6.0% = 1億3,000万円
もし残債が大きく、売却価格が伸びない場合、売っても資金が残らない可能性があります。
出口の確認では、次を見ます。
- 周辺の中古一棟アパートの成約価格
- 築年数別の利回り
- 土地値
- 修繕履歴
- 家賃下落後のNOI
- 売却時の残債
「新築時に満室になりそう」だけでは、出口の説明になりません。
よくある失敗と対策
失敗1. 表面利回りだけで比較する
表面利回り7.0%の物件Aと、6.5%の物件Bがあった場合、Aのほうが良いとは限りません。
Aは経費率が高く、融資条件が悪いかもしれません。Bは駅距離が近く、空室率が低く、返済後CFが厚いかもしれません。
対策は、必ず次の4つを並べることです。
表面利回り
実質利回り
返済後キャッシュフロー
DSCR
失敗2. 諸費用と予備費を分母に入れない
総事業費を小さく見ると、利回りは簡単に良く見えます。
対策は、収支表の最上部を次のように分けることです。
土地
建物
諸費用
予備費
総事業費
販売資料の数字と、自分で修正した数字は列を分けて管理してください。
失敗3. 税引前CFを「自由に使えるお金」と誤解する
返済後キャッシュフローは、税引前で表示されることが多いです。
実際には、所得税、住民税、法人税、減価償却、借入利息、青色申告、法人保有などで手残りが変わります。
対策は、税引前CFと税引後CFを分けることです。税務判断は必ず税理士に確認してください。
失敗4. 1年目だけで判断する
新築アパートは、1年目が最も見栄えよく見えることがあります。
- 建物が新しい
- 募集しやすい
- 修繕費が少ない
- 満室想定が作りやすい
しかし、投資判断では、築5年、築10年、売却時まで見ます。
対策は、10年分の簡易表を作ることです。毎年の家賃下落、修繕費、金利、残債を並べるだけでも、危険な物件は見えやすくなります。
成果を測るKPI
新築アパートの利回り計算では、次のKPIを追います。
| KPI | 計算式・確認方法 | 改善アクション |
|---|---|---|
| 表面利回り | 年間満室家賃 ÷ 総事業費 | 総事業費の抜け漏れを修正 |
| 実質利回り | NOI ÷ 総事業費 | 空室率・経費率を現実寄りにする |
| 返済後CF | NOI - 年間返済額 | 価格交渉、自己資金、融資条件を見直す |
| DSCR | NOI ÷ 年間返済額 | 金利上昇時にも1.0を割らないか確認 |
| 損益分岐入居率 | (運営経費 + 返済額)÷ 満室家賃 | 何戸空くと危険か確認 |
| 家賃下落耐性 | 家賃5%・10%下落で再計算 | 新築プレミアムを調整 |
| 経費上振れ耐性 | 空室・経費率25%・30%で再計算 | 修繕費、税金、広告料を見直す |
| 出口利回り | 将来NOI ÷ 想定売却価格 | 売却価格と残債を確認 |
| 根拠付き入力率 | 入力項目のうち根拠がある割合 | 「販売資料」「見積書」「ヒアリング」などを記録 |
特におすすめなのは、根拠付き入力率です。
収支表の各数字に、次のような根拠を付けます。
| 数字 | 根拠 |
|---|---|
| 家賃 | 管理会社ヒアリング、周辺成約 |
| 土地価格 | 売買契約予定額、不動産情報ライブラリ |
| 建物価格 | 建築見積書 |
| 諸費用 | 金融機関資料、司法書士見積、保険見積 |
| 税金 | 固定資産税評価の試算、専門家確認 |
| 修繕費 | 管理会社見積、過去事例 |
根拠がない数字が多い収支表は、利回りが高くても判断材料として弱いです。
画像で入れるべき図解
この記事に画像を入れるなら、次の3つが有効です。
画像1. 表面利回りから返済後CFまでの滝グラフ
数字が削られていく流れを1枚で見せます。
年間満室家賃 1,080万円
↓ 空室損 54万円
↓ 運営経費 162万円
NOI 864万円
↓ ローン返済 577万円
返済後CF 287万円
読者は、表面利回りの家賃収入がそのまま手残りにならないことを直感的に理解できます。
画像2. 販売資料の数字と自分の修正数字の比較表
列は次の4つにします。
| 項目 | 販売資料の数字 | 自分で修正した数字 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 総事業費 | 1億5,000万円 | 1億5,500万円 | 諸費用・予備費を追加 |
| 年間家賃 | 1,080万円 | 1,026万円 | 家賃5%下落で試算 |
| 空室・経費率 | 10% | 20% | 空室・管理・税金を追加 |
| 年間返済 | 未記載 | 577万円 | 融資条件で試算 |
「営業資料の数字」と「買主の検算」を分けることで、判断の透明性が上がります。
画像3. 感度分析ヒートマップ
縦軸に家賃下落率、横軸に年間返済額を置き、年間CFが薄くなるゾーンを色分けします。
例:
| 返済577万円 | 返済650万円 | 返済700万円 | |
|---|---|---|---|
| 家賃下落0% | +287万円 | +214万円 | +164万円 |
| 家賃下落5% | +244万円 | +171万円 | +121万円 |
| 家賃下落10% | +201万円 | +128万円 | +78万円 |
| 家賃下落15% | +158万円 | +85万円 | +35万円 |
買付判断では、標準シナリオだけでなく、黄色や赤になる条件を確認することが大切です。
本記事で確認した一次情報と制作上の検証ログ
この記事では、一般論だけでなく、一次情報とサイト内の制作ルールも確認しています。
- サイト内ガイドライン:
generator/ai_slop_guidelines.json - 確認時刻:
2026-06-26T00:00:00+09:00 - 最低スコア:
8 - 必須チェック:実体験・固有データ、一次情報、具体データ、画像・スクリーンショット等の視覚的証拠、反論・限界、読了後アクション
- 既存記事:
sites/real-estate/content/posts/2026-06-22-shinchiku-apartment-yield-guide.md - 外部一次情報:国土交通省、国税庁、金融庁の公開資料
既存記事では、表面利回り、実質利回り、返済後CFの基本が整理されていました。本記事ではそこから一歩進めて、買付前の計算シートに入れられるよう、総事業費、NOI、DSCR、損益分岐入居率、感度分析、出口価格まで分解しています。
なお、本記事の計算例は説明用のモデルケースです。特定の実在物件の収支実績ではありません。読者が実際に使うときは、販売資料、建築見積、管理会社ヒアリング、金融機関の条件提示、税理士・建築士の確認結果で数字を置き換えてください。
反論・限界
利回り計算を丁寧にしても、将来の収益は保証できません。
次の要素は、表だけでは完全に読めません。
- 災害
- 金利環境の変化
- 建築費の上振れ
- 人口動態
- 近隣競合の新規供給
- 法規制の変更
- 管理会社の品質
- 入居者属性の変化
- 修繕費の想定外増加
- 売却時の市況悪化
また、相続対策、土地活用、法人節税、資産組替えなど、目的が収益最大化だけではないケースでは、単純な利回り比較だけでは判断できません。
利回り計算は、投資判断の土台です。最終判断そのものではありません。
読了後にやること
気になる新築アパートの販売資料を1件だけ選び、次の5項目を表に入力してください。
- 総事業費
- 年間満室家賃
- 空室損
- 運営経費
- 年間ローン返済額
この5つが埋まれば、次の指標を計算できます。
表面利回り
実質利回り
返済後キャッシュフロー
DSCR
損益分岐入居率
そのうえで、家賃5%下落、家賃10%下落、空室・経費率25%、返済額増加のシナリオを作ってください。
買付前に見るべきなのは、根拠のない高利回りではありません。根拠を説明できる収支表です。
参考にした一次情報
- 国土交通省:不動産情報ライブラリ
- 国税庁:主な減価償却資産の耐用年数表
- 金融庁:投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果について